BOOK Studio947
狩野祐東・狩野さやか著書

お話でわかるプログラミング

ケイトリン・シウ作、マルセロ・バダリ絵、狩野さやか訳・解説/ほるぷ出版
32ページ 2750円(税込) 978-4593103560

「考え方」が身近なストーリーでわかる! イギリス生まれのプログラミング絵本

「お話でわかるプログラミング」シリーズは、ロボットたちが、お話のなかで出会うさまざまな問題を、プログラミングの基本的な考え方やスキルを使って解決していく絵本です。

原書はイギリスで出版されていて、ロボットたちの楽しいストーリーを通して、プログラミングをするときに使う考え方を自然に学ぶことができます。日本での出版にあたり翻訳と解説を担当しました。

シリーズの絵本は全部で6冊あります。まず、「アルゴリズム」がどんなものなのか、そしてアルゴリズムとプログラムの3つの基本構造「順次」「反復」「分岐」をそれぞれ。それからプログラミングに必須の「変数」について。さらに、プログラミングの前段階として問題を分析的に捉える「分解する」という考え方について。

これらのコンセプトを、ロボットたちの楽しい身近なストーリーに置き換えて説明してくれますから、難しいことはありません。小学校のプログラミングの授業の導入にぴったりですし、学校図書館、地域の図書館、プログラミング教室などにあると、子どもたちが自然とプログラミングでよく使う考え方に触れることができます。

「お話でわかるプログラミング アルゴリズムを考えよう ウォーターパークにあつまれ!」 出版社Amazonhonto
「お話でわかるプログラミング 順次のかたちで考えよう はじめての学校」 出版社Amazonhonto
「お話でわかるプログラミング 反復のかたちで考えよう ツリーハウスをつくろう!」 出版社Amazonhonto
「お話でわかるプログラミング 分岐のかたちで考えよう たんじょうびパーティー大作戦!」 出版社Amazonhonto
「お話でわかるプログラミング 分解して考えよう ロックンロールしようよ!」 出版社Amazonhonto
「お話でわかるプログラミング 変数をつかって考えよう 本づくりにちょうせん!」出版社Amazonhonto

対象年齢: 小学1・2年生から

例えば、「アルゴリズムを考えよう ウォーターパークにあつまれ!」では、ロボットが大好きなウォーターパークに無事たどりつけるかどうか……というストーリーが展開します。ポップで元気が出るイラストレーションと色づかいで、楽しい気持ちで読み進められます。

ロボットたちはなかなか個性豊か。シリーズごとにちがうロボットが主人公になりますが、サイドキャラとして再び登場したりするので、「あ!あのロボットがまた出てきた!」と楽しめます。

イギリスでは初等教育のナショナルカリキュラムに「Computing(コンピューティング)」という教科があり、コンピューターに関する知識やプログラミング、問題解決の手法としての「Computational Thinking(コンピュテーショナル・シンキング)」などを学ぶことになっています。ですから、こんなふうに、小さな子どもにもわかりやすく、かみくだいてプログラミングで使う考え方を伝える絵本や教材が豊富なのです。この絵本もとてもよくできています。

なお、絵本は考え方をストーリーを通じて理解する内容なので、日本向けに、実際のプログラミングとの関係性がすっきりわかる解説を巻末に書き下ろしています。子ども向けのビジュアルプログラミング言語Scratchでの具体例も掲載しています。

翻訳にあたっては、原書の意図や良さを尊重しながら、日本の子どもたちにわかりやすい言葉や表現を選び、どこまで専門用語を使うかなどを繰り返し検討しました。楽しみながらさらっと読めて、自然と思考パターンを学ぶことができる絵本に仕上がっています。

図書館向けの製本、価格設定で一般書店には並びにくい可能性がありますが、ネット書店で購入できます。
地域の図書館や学校図書館でたくさん読まれる絵本になってくれたらうれしいです。ぜひリクエストなどしてみてください!