BOOKS
by Sukeharu Kano / 狩野祐東 著書

「作りながら学ぶjQueryデザインの教科書」刊行に向けて

2014-05-22

 2014年5月20日、ついに書籍「作りながら学ぶjQueryデザインの教科書」が発売されました。ついでに、書籍発売に向けてわたしが書いた本を集めたサイトを作ることにしました。時間がないなか協力者の方々には無理を承知でお願いして…… 20日には間に合わなかったようやく公開できるようになりました。わたしのホームサイトであるsolidpanda.com内に点在する書籍サポートページ/サイトを統合しようと計画していますが、その作業はこれからします。まだ不足するページやコンテンツもありますが、これからもどうぞよろしくお願いします。

「作りながら学ぶjQueryデザインの教科書」は、通信教育向け非売品や執筆協力を含めるとわたしの10冊目の著書で、個人的には記念すべき本です。

 わたしの、これまた記念すべき最初の書籍は「速習Webテクニック FLASH MX ActionScript 実例サンプル60」、いまはもうすっかり日陰の存在になったFlashの解説本で、きわめてたまたま偶然的にチャンスが巡ってきたものです。

 その最初の本を書くとき、「10冊は書いてやろう」と決意しました。もちろん、10冊書いたら止めるなどと考えていたわけではありませんが、ひとつの節目として10冊、そこまで運とチャンスが巡ってきますように、という気持ちで、自分のマイルストーンを設置したわけです。わたしのライター業には途中ブランクがあり、10冊達成はかなり難しくなってきたなあと思っていた時期もありましたが、おかげさまで無事到達することができました。これもひとえに出版社、編集者さんのおかげ、ほとんどお会いしたこともありませんが紙面・装丁デザイナーさんのおかげ、そしてなによりも、読者の皆さまのおかげです。

 ブランク後ライター業に復帰してみると、出版を取り巻く状況は大きく変わっていて──わたしが書き始めたころから本は売れない売れないと言われていたので、その点は、余計に売れなくなっていることをのぞけばあまり大きく変わっていませんでしたが──、著者が外に出る、たとえばこういうサイトを作ったり、セミナーを開いたり、書店巡りをしたり…… そうして読者との接点を増やしていくことが要求されるようになっていました。以前はまったくやっていなかった。書いたら終わり。いやそれ以下かな、書いたら知らんぷりに近かったと思います。

 こういう、プロモーションとか、営業的な活動ですね。わたしは得意でなかったし、いまも得意なわけではないし、「作ったものは作ったもののクオリティで勝負せよ」という考えが深く染みついているどちらかといえばクリエイター体質のため、これから先も得意になることはないどころか、ちょっと気を緩めると拒絶反応が出るたぐいのものです。しかし、そんな役割が求められるようになってきているのを、復帰して肌で感じました。

 まあその得意でない作業も、多少でもやってみてわかったことがあります。クオリティの高い/低いって、もしかして自分が決める、あるいは判断するものじゃないんじゃない? クオリティはそれを使ったりする人が評価するものであって、自分が作ったときから作ったものに装着されているわけではない。使う人が出てきてはじめて、作ったもののクオリティが顕在しはじめるのかもしれない。そうなんだとしたら、まずは評価のまな板に上がるためにこっちから出向かなくちゃいけない。

 聞く人が聞けば当たり前すぎる当たり前の話なんだろうと思いますが、わたしのようなクリエイター体質系には決定的に欠けていた視点です。ほんとは、評価される場にこちらから出向くのは怖い作業です。怖いからやりたくない。だから、「クオリティ勝負」と考えてクオリティがあればオートで世の中が見いだすと考える。でもその思考回路は、怖いことから逃げている、もっとほんとのことをいってしまえば、怖いことから逃げていることに気付いてしまいそうな自分から逃げていることの、表面上のプロテクターでした。

 この図式、わたしの場合は前からうすうす感づいていて、怖がる自分から逃げる自分が怖がる自分に追いつかれるほうが早いか、誰かが見いだすほうが早いかを脳内競争させていました。そんな誰かは来ませんから、どんなに走っても自分に追いつかれちゃう。追いつかれたとき、気付かされる現実はたぶん、かなりつらい。じゃあこの競争は止めよう。自分から出て行こう。

 ……と、いう。そんな心境で10冊目を世に送り出すことになりました。1冊目を書いたときには考えもしていなかったことです。ああおれも成長したなあ。一時はどうなることか思ったよ。結論として、わたしにはまだまだやり足りないことがあることがわかったので、10冊達成しても止めません。チャンスが来る限り。わっはっは。